Cs-137が500Bq出た!と騒ぎになっているが,いったい何グラムなのだろうか?と思い計算してみた.
Cs-137の「1kBのグラム数」は,ある本には,3.11×10^(-10)gと書いてある(導出は後ほど).つまり,Cs-137が1000Bqの質量は,3.11×10^(-10)gということである.
従って,Cs-137の500Bqは,さっきの値の半分,1.555×10^(-10)gということになる.0.1555 ngってことかな.
こんな微量の物に大騒ぎしているのか?と思いたくもなるが,これによる影響は,また別の話.
*****
さて,さっきの数値の出し方をがんばって書いてみようと思う.放射線物理(化学)の本には載ってるし,放射線取扱主任者試験の問題だから本を探せば計算は載っている.
原子の崩壊の微分方程式に次の式がある.-(dN/dt)=Nλ.ここで,Nは原子の数,tは時間(s),λは崩壊定数である.(dN/dt)は単位時間あたりの原子の減少量つまり放射能ということになり,Bqの単位で表す.また,λ=(ln 2)/Tであり,ln 2=0.693,Tは半減期である.さらに,原子の数NはN=(N_A)×(W/A)で表される.(N_A)はアボガドロ数で,Wは質量(g),Aは質量数である.これら3つの式を組み合わせると,次の式が成り立つ:
(dN/dt) = (ln2)/T ・(N_A) ・(W / A)
これを,Wについて解くと,
W = ((A ・T )/ (ln 2 ・(N_A)) )・(dN/dT)となる.あとは,文字に数字を入れると上の数字が出てくる.
N_A = 6.02×10^23,T= 30.02(y)×365(days)×24(h)×3600(s),A=137(Cs-137の137).1kBqあたりの…とあるように,放射能の単位がBqではなくkBqであることに注意.
他の核種でも同様に計算できる.